務縮小などの事情で従業員を解雇せざるを得ない場合、その企業が従業員の再就職を支援または、条件を満たす企業が離職した労働者を雇うことで『労働移動支援助成金』を受給できます。
厚生労働省の政策の一環である“失業なき労働移動”を実現するために始まった『労働移動支援助成金』は、2014年3月から大企業も助成対象になりました。
会社と離職する従業員の双方にメリットがある『労働移動支援助成金』の受給条件について綴ります。
- 『労働移動支援助成金』は3つのコースが設けられている
労働移動支援助成金は「再就職支援コース」「中途採用拡大コース」「早期雇入れ支援コース」の3つのコースが設けられています。
それぞれ、助成条件が異なるので、ひとつずつ見ていきましょう。
◆再就職支援コース
このコースで助成対象となるのは以下の3つのいずれかになります。
再就職支援 |
離職する従業員の再就職を職業案内業者に委託 |
休暇付与 |
離職が決定している労働者の求職活動のために休暇を付与 |
職業訓練 |
再就職の際に有利となる職業訓練を訓練施設に委託 |
再就職支援は、離職する従業員に対して「訓練」もしくは「グループワーク」を実施することで、助成金に一定額上乗せされて支給されます。また、受給するためには、離職した労働者が離職から6か月以内(45歳以上は9か月以内)に雇用保険一般被保険者、または高年齢被保険者として再就職することが必要です。
どの条件であっても、1つの事業所が1年度に受けられる助成者の限度は500人です。
◆中途採用拡大コース
事業の生産性を向上させるために中途採用率の向上や中高齢者を初採用する場合に助成金を受給できます。助成対象となる主な条件は以下の2つです。
中途採用率の向上を図る |
中途採用者の雇用管理制度を整備し、中途採用率の向上を図っている事業主 |
初めて45歳以上の従業員を採用 |
中途採用者の雇用管理制度を整備し、初めて45歳以上の方を採用した事業主 |
◆早期雇入れ支援コース
早期雇入れ支援コースとは、離職を余儀なくされた労働者に安心して働ける環境を提供する事業者に助成されるものです。
事業者と労働者の双方に条件が課されていることがポイントとなります。
・事業者の条件
助成金支給申請、及び支給決定時にも雇入れた従業員が就業している |
試用期間を設けた契約社員としての契約をしていない |
一般被保険者、または高年齢被保険者として雇い入れる |
・雇入れる労働者の条件
離職の際に「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者 |
雇用されていた事業主の事業所への復帰の見込みがない |
離職から3か月以内に期間の定めのない労働者として雇入れが可能 |
◆おわりに
企業は労働者の採用と離職する労働者のために支援することに前向きになれ、離職する労働者は求職活動を行う上でメリットがあります。
まだ、一般認知度が低いと思われる「労働移動支援助成金」を知り、万が一の際に備えましょう。