中小企業の海外進出によるトラブルのひとつに知的財産権での訴訟があります。世界統一されていない知的財産権は、事業展開する国で得なければ訴訟リスクを生みます。
万が一訴訟に発展した場合、多額の費用が掛かるため争えず撤退等を招きかねません。そこで利用できるのが『海外知財訴訟費用保険』です。
どのような保険事業なのかをご紹介します。
●増加傾向にある訴訟リスク
特許庁の調べによると、アンケートに回答した933社の6%に当たる55社が「海外の企業から権利を侵害していると指摘を受けた」と回答しています。
中国は特許出願が最も多く、他の新興国でも増え続けている事実からも今後ますます知的財産権に関する警告と訴訟のリスクは高まり続けるでしょう。
『海外知財訴訟費用保険』はまさにこういった訴訟のリスクに対応するための制度です。
●保険金の支払い条件と金額
どのような場合に補助がされるのかは以下の通りです。
ともに敗訴した場合は保険金が支払われないというところは共通しています。
・知的財産権を侵害した、またはその恐れがあるとして損害賠償請求などをされた場合に、負担費用について保険金が支払われます。これには上訴や再審請求も対象です。 |
・自社の現地法人が知的財産権を侵害、またはその恐れがあるとして訴訟の提起をされた場合に、負担費用について保険金が支払われます。 |
負担費用とは主に、損害保険ジャパン日本興亜、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険(引受保険会社)が事前に承認した「弁護士費用」「鑑定費用」を指しています。これ以外にも、引受保険会社が必要と認めたものに関しては弁護士費用と鑑定費用以外でも保険金が支払われます。
●支払われる保険金額
『海外知財訴訟費用保険』は日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会が運営しています。保険を受け取れるのは日本商工会議所の会員企業、全国商工会連合会の会員企業、中小企業組合に加盟している企業に限られます。
免責金額は1請求につき10万円となり、保険金は500~5,000万円となっています。保険会社のパンフレットにて確認が必要です。ページ下部の参考欄にパンフレットのリンクがありますので、是非ご覧ください。
- おわりに
知的財産権に限らず、海外での訴訟は多額の費用が掛かります。海外展開を視野にしている、または展開している中小企業は、万が一に備え『海外知財訴訟費用保険』への加入をオススメします。
■参考