「先端設備導入計画」とは、中小企業が設備投資を通じて労働生産性の向上を図るため、生産性向上特別措置法に定められた計画のことです。
対象とされる中小企業は、設備投資を実施する市町村で先端設備等導入計画を提出し、認可を受けることで多くのメリットを得ることができます。
先端設備導入計画によるメリットと申請方法について見ていきます。
- 対象となる中小企業
業種 |
資本金 |
従業員数 |
サービス業 |
5,000万円以下 |
100人以下 |
小売業 |
5,000万円以下 |
50人以下 |
旅館業 |
5,000万円以下 |
200人以下 |
卸売業 |
1億円以下 |
100人以下 |
製造業その他 |
3億円以下 |
300人以下 |
ゴム製品製造業 |
3億円以下 |
900人以下 |
ソフトウェア業 |
3億円以下 |
300人以下 |
情報処理サービス業 |
3億円以下 |
300人以下 |
上記の他、開業届けを提出済みの個人事業主も対象となります。
- 先端設備導入計画により得られるメリット
先端設備導入計画の認可によって得られるメリットは主に3つです。
■固定資産税特例を受けられる
市町村により異なりますが、資本金が1億円以下の法人(資本金1億円超の法人から2分の1以上の出資を受ける法人は除く)を対象に、先端設備導入計画の認可を受けてから3年間、固定資産税特例として0~1/2に減免されます。
固定資産税特例は、先端設備を前提とし「生産性が旧モデルと比べ年平均1%向上する設備」かつ「販売開始から一定期間内かつ一定額以上の設備」であることが必要です。
設備の種類 |
用途 |
最低価格 |
販売開始時期 |
機械装置 |
全て |
160万円以上 |
10年以内 |
工具 |
測定及び検査 |
30万円以上 |
5年以内 |
器具備品 |
全て |
30万円以上 |
6年以内 |
建物付属設備 |
全て |
60万円以上 |
14年以内 |
■各種補助金の優先採択と補助額のアップ
優先採択及び、補助額のアップが受けられる補助金は以下の4つです。
1.)ものづくり補助金
2.)小規模事業者持続化補助金
3.)サポイン補助金
4.)IT導入補助金
それぞれ補助金補助率が最大で2/3となります。
■信用保証の別枠化
民間金融機関から融資を受ける際、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等とは別枠での追加保証が受けられます。
- 先端設備導入計画の申請方法
先端設備導入計画は「先端設備導入計画」「経営革新等支援機関の事前確認書」「工業会等証明書」などの必要書類を揃えた上で、設備投資を実施する自治体に持参、もしくは郵送にて提出します。
「工業会等証明書」の手続きは主に、機械装置等を購入した先のメーカーから工業会へ手続きします。
メーカーや商社によって異なると思いますので、購入前に工業会証明書が欲しいことを事前に話しておいた方がよいかもしれません。
私の経験上ですが、工業会証明書が取得できない機械装置もあります。生産性向上が期待されない機械装置、測定器や革新的な機械でない場合は対象外となってしまうことがあるようです。
また、工業会証明書については先端設備等導入計画の認証後、機械装置等が導入されてから工業会証明書を提出しても支障はないようですが、各区役所や市役所にその旨をきちんと確認してください。
先端設備等導入計画の認定を受けるまでは提出後から概ね1~2週間となっているようです。
- おわりに
先端設備導入計画は即時償却や税額控除といったメリットはありませんが、そこは経営力向上計画と併用することで補うことが可能です。
書類の準備に手間取りますが、2つを併用することで多くのメリットが受けられるので前向きな検討をオススメします。